目次
ナンピンとは?
ナンピン(難平)とは困難を平らにする(平均化する)という意味です。
買値を平たくするのは難しい という理由からナンピンと呼ばれるようになりました。
買ったあとに値が下がった場合、買い増すことで平均取得額が下がることになります。下がるごとに買い足して平均取得額を下げるやり方をナンピンと言います。下げ止まるだろうと思って逆張りで買ったときに、ナンピンをする人が多いです。
ナンピン買いとは?
ナンピン買いとは価格が下がるごとに買い足して、平均取得価格を下げることです。
26700円、26500円、26300円での平均取得価格は(26700 + 26500 + 26300 ) ÷ 3 = 26500円 となります。
ナンピン買いのメリット
ナンピン買いをした後に、価格が上昇して平均取得価格を上回れば利益が出ます。
ナンピン買いのデメリット
買った後に、価格が下落し続けた場合はナンピン買いをした分だけ損失が膨らみます。
ナンピン売りとは?
ナンピン売りとは価格が上がるごとに売り足して、平均取得価格を上げることです。
26300円、26500円、26700円での平均取得額は(26300 + 26500 + 26700 ) ÷ 3 = 26500円 となります。
ナンピン売りのメリット
ナンピン売りをした後に、価格が下落して平均取得価格を下回れば利益が出ます。
ナンピン売りのデメリット
売った後に、価格が上昇し続けた場合はナンピン売りをした分だけ損失が膨らみます。
ナンピンの特徴
ナンピンは保ち合い相場では有効な手段となりますが、証拠金に対して目一杯のポジションを取ってしまう傾向にあるため、ハイリスクの状況に陥りやすい手法と言えます。
含み損をナンピンで回避しようとした結果、取り返しのつかない損失を抱え込むことがある一方で、小さな利益でも早く利食いしたい、早く逃げたいという気持ちになりやすく、利を伸ばすことが困難です。
また、大きな利益を狙った場合には逃げ遅れる可能性もあるため、経験値をどんなに積み上げても手仕舞いの判断基準が曖昧になやすい手法です。
そして、損失が出た時のダメージが甚大になることを忘れてはなりません。
ナンピンのリスクと弊害
ナンピンには以下のようなリスクにも注意しなければなりません。
・9.11テロ、3.11大地震、コロナショックなど想定外の値動きによって大きな損失を抱え込む。
・オーバーナイトや週またぎによってギャップが出た時に大きな損失を抱え込む。
・チャートから離れることができなくなる。
・睡眠不足、仕事への悪影響、人間関係の悪化。
・食欲不振、下痢、頭痛、胃痛、嘔吐、発熱、結膜下出血、鬱、情緒不安定などの障害が現れます。
このようなリスクに直面しているにもかかわらず、ロスカットするかどうかの基準が含み損が解消されるかどうか?
ということにすり替わり テクニカルにおける明確な基準を見失ってしまう点も大きなデメリットです。
つまり逆張り・ナンピンは感情や自己都合を重視したトレードの温床となってしまう可能性が非常に高いのです。
ナンピンは●●●でも退場する
順張りのように見立てや参加基準を準備することが面倒になり、手っ取り早くエントリーできる(と感じる)逆張り、ナンピンに傾倒してしまう初心者の時期が誰でもあります。
しかし、逆張り・ナンピンによってお金が空から降って来るかのような至福の期間を過ごしたとしても
大きな価格変動が起きた際には壊滅的なダメージを受けるため、たった一度の負けでも退場するリスクを負っているだけでなく、千載一遇の収益チャンスをも逃してしまうのです。
脱ナンピンのすすめ
ナンピンは上手く行けば大きな利益へつながりますが、甚大な損失を被るリスクと隣り合わせであり 一旦大きく資金を失ってしまうと挽回するだけのポジションを持つことが出来なくなってしまいます。
要するにナンピンは這い上がれなくなる仕組みに自ら飛び込んでいるといっても過言ではありません。
ロスカットを避け、利益だけを追求してナンピンするメリットよりも最終的にデメリットの方が遥かに大きくなるのがナンピンの特徴といっても良いでしょう。
コツコツドカンの損失は逆張り、ナンピンがきっかけとなっていることが多く、大転落への入り口となっているので今のうちにやめましょう。
100年に一度の〇〇ショック
2011年3月11日に発生した東日本大震災は100年に一度の大地震と言われていますが、これは地震ということに限定した場合です。
現実には9.11同時多発テロ、3.11大地震、チャイナショック、コロナショックなど数年に1度といった間隔で様々なリスクに直面しています。
運悪く〇〇の暴落で大損してしまった・・・
のではなく
運良くたまたま大損しなかっただけ・・・
と捉えるべきです。
相場で生き残り、利益を上げ続けていくために、まずはナンピンをやめて突如として訪れる大きな価格変動に耐えうる手法を持つことを目指してください。
(上級者向け・警告)ナンピン買いの結末
下の日足チャートにおいて28200円で日経先物miniを1枚購入後、①~⑩まで価格が200円下がるごとに1枚ずつ買い足していった場合、どのようなことが起こるでしょうか?
一緒に考ていきましょう。
それでは日経225先物miniを1枚買うために必要な証拠金15万円、口座残高200万円の場合におけるナンピン買いを検証していきます。※ 今回は取引手数料は考慮しておりません。
①ナンピン買い 1回目 28,000円
平均単価(28,200+28,000)÷2 = 28,100円、損失額 = -100×2枚×100円 = -2万円、口座残高 = 200万円ー証拠金(15万円×2枚)ー損失額(2万円)= 168万円
②ナンピン買い 2回目 27,800円
平均単価(28,200~27,800)÷3 = 28,000円、損失額 = -200×3枚×100円 = -6万円、口座残高 = 200万円-証拠金(15万円×3枚)ー損失額(6万円) = 149万円
③ナンピン買い 3回目 27,600円
平均単価(28,200~27,600)÷4 = 27,900円、損失額 = -300×4枚×100円 = -12万円、口座残高 = 200万円-証拠金(15万円×4枚)ー損失額(12万円) = 128万円
④ナンピン買い 4回目 27,400円
平均単価(28,200~27,400)÷5 = 27,800円、損失額 = -400×5枚×100円 = -20万円、口座残高 = 200万円-証拠金(15万円×5枚)ー損失額(20万円) = 105万円
⑤ナンピン買い 5回目 27,200円
平均単価(28,200~27,200)÷6 = 27,700円、損失額 = -500×6枚×100円 = -30万円、口座残高 = 200万円-証拠金(15万円×6枚)ー損失額(30万円) = 80万円
⑥ナンピン買い 6回目 27,000円
平均単価(28,200~27,000)÷7 = 27,600円、損失額 = -600×7枚×100円 = -42万円、口座残高 = 200万円-証拠金(15万円×7枚)ー損失額(42万円) = 53万円
⑦ナンピン買い 7回目 26,800円
平均単価(28,200~26,800)÷8 = 27,500円、損失額 = -700×8枚×100円 = -56万円、口座残高 = 200万円-証拠金(15万円×8枚)ー損失額(56万円) = 24万円
⑧ナンピン買い 8回目 26,600円
平均単価(28,200~26,600)÷9 = 27,400円、損失額 = -700×9枚×100円 = -63万円、口座残高 = 200万円-証拠金(15万円×9枚)ー損失額(63万円) = 2万円
ここで口座残高が2万円となりました・・・
200万円をもとに①~⑩までナンピン買いする予定でしたが、日経225先物miniを1枚買うために必要な証拠金は15万円ですのでこれ以上買い注文を入れることは出来ません。
26,400円の時
平均単価 = 27,400円、損失額 = -1,000×9枚×100円 = -90万円、口座残高 = 200万円-証拠金(15万円×9枚)ー損失額(90万円) = -25万円
遂に口座残高がマイナスとなり-25万円となりました。
こうなった場合は不足分の25万円を翌営業日の正午までに入金しなければなりません。
これが追証です。
期日までに入金ができないと、ポジションが強制決済され損失額(-90万円)が確定されます。
(具体例)ナンピンのデメリット
上のチャートを見ると9枚の平均購入単価である27,400円を上回る27,500円までリバウンドしているので大丈夫と思うかもしれませんが、実際には26020円まで下げてからリバウンドしています。
26,020円の時
平均単価 = 27,400円、損失額 = -1,380×9枚×100円 = -124万円、口座残高 = 200万円-証拠金(15万円×9枚)ー損失額(-124万円) = -59万円
このような不足金額を目の当たりにして冷静かつ平穏な日常生活が送れるでしょうか・・・
夜中も気になってチャートに張り付き、一睡も出来ず、食事やトイレもままならない状況へ陥っているはずです・・・
(具体例)更なる最悪の事態
さて、事態は更に悪化することもあります。
9枚の買いポジションを持ちながら週をまたいでしまった時に起こる最悪の事態を想定してみましょう。
26,400円から翌週の寄り付きで1,000円ギャップダウンした場合、価格は25,400円となります。
25,400円の時
平均単価 = 27,400円、損失額 = -2,000×9枚×100円 = -180万円、口座残高 = 200万円-証拠金(15万円×9枚)ー損失額(180万円) = -115万円
口座残高は-115万円となりました。
翌営業日の正午までに不足分の115万円を入金しなければ、強制決済されて損失額(-180万円)が確定されます。
(具体例)2020年 コロナショック時の下落幅
今回例に挙げた下落幅は日足のトレンドラインを割り込むところ28,200円から26,020円まで2,180円の下落幅でしたが、2020年2月下旬から事態が急変したコロナショックにおいては23,200円から15,860円まで7,340円の下落幅を記録しました。
目先の下落だけを見てナンピンする幅を広く取れば大丈夫!と高を括って構えるのはあまりにも危険であることは容易に想像が付くはずです。
1000~2000円で反転する期間においてはナンピンで資金が増えることは確かにあります。しかし、上記のような事態が生じた際には、たった一度の負けで退場となることをこの章で理解しておくとよいでしょう。ナンピンの結末を事前に理解してやめることが出来るのはごく少数の人間に限られるためです。100勝1敗の勝率でもその1敗がナンピンを重ね続けた壊滅的ものであれば退場となり得るのです。
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